賃貸を続けるか、家を買うか。家賃を払い続けるのはもったいないという声もあれば、買ったあとの修繕や教育費が心配という声もあります。
そこでこの記事では、同じ家計の架空の例で、賃貸を続ける場合と中古+改修で買う場合を並べました。85歳までの預貯金・投資を、家賃の上がり方・住宅の価値・修繕・教育費を変えて比べています。
先に結論を言うと、住宅の価値を0円で見ると、賃貸が上でした。ただし、家賃が少し上がるか住宅の価値が残ると、差は小さくなります。
この記事でわかること
- 賃貸と購入で、85歳までの預貯金・投資がどう変わるか
- 差を動かす、家賃・住宅の価値・修繕・教育費の影響
- どちらかを決める前に、確かめる点
運営者は、福岡県に住み、中古住宅(中古+改修)を検討している個人です。購入した実績や、FP・金融機関の資格はありません。詳しくは運営者情報に書いています。購入をすすめる記事でも、賃貸をすすめる記事でもありません。
結論:住宅の価値を0円で見ると、賃貸が約820万円上
架空の家計例中古+改修(総額3,400万円・借入3,100万円)と、家賃8万円の賃貸を、85歳まで並べました。金利は変動1.2%、返済は35年です。
85歳時点の預貯金・投資(万円・架空の例)
架空の家計例。購入は、85歳時点で住宅の価値を0円として計算しています。
| 賃貸を続ける | 中古+改修 | |
|---|---|---|
| 毎月の住居費(初年) | 8.1万円 | 11.1万円 |
| 85歳の預貯金・投資 | 1,746万円 | 924万円 |
| 最も少なくなる額 | 639万円 | 314万円 |
| マイナスになる年 | なし | なし |
架空の家計例。賃貸は家賃が上がらない前提です。購入は、住宅の価値を0円として計算しています。
85歳の預貯金・投資は、賃貸が822万円多い結果です。ただし、購入は、85歳の時点で家が残ります。この家の価値が約820万円以上あれば、購入が上になります。
どちらもマイナスになる年はありません。差を動かす条件を、次の章から順に見ていきます。
この記事の数字の出どころ(3つに分けて載せます)
お金の話では、数字がどこから来たのかが分からないと、判断のしようがありません。この記事の数字は、次の3つに分けて表示します。
| 区分 | 意味 | この記事での例 |
|---|---|---|
| 公的・一次情報 | 国や公的機関が公表している情報。出典と確認日を付けます | 住宅ローン控除の区分と限度額(国税庁) |
| 運営者の体験 | 運営者自身の体験。匿名化し、金額は丸めます | この記事では使っていません |
| 架空の家計例 | 条件を決めて作った計算例。実在の世帯ではありません | 賃貸と購入の、85歳までの家計 |
この記事は、公的な数字よりも、架空の例の計算が中心です。住宅ローン控除の区分は、国税庁のページで確認しています(確認日:2026年10月5日)。
計算に使った家計の前提
架空の家計例実在の世帯ではありません。条件は、比較ツールの入力欄と対応しています。入力の順番は、ツールの使い方の記事で説明しています。
| 項目 | 想定 |
|---|---|
| 世帯 | 本人35歳(額面年収520万円・手取り400万円)、配偶者33歳(額面150万円・手取り140万円)、子ども4歳と1歳 |
| 預貯金・投資 | 500万円(運用利回りは年1%) |
| 生活費・教育費 | 生活費は月17万円。教育費は、年齢に応じて月2万〜10万円(1人あたり) |
| 購入(中古+改修) | 物件2,800万円、改修400万円、諸費用200万円(総額3,400万円)。自己資金300万円、借入3,100万円 |
| ローン | 変動金利1.2%、35年、元利均等返済。金利は途中で変わらない前提 |
| 維持費 | 固定資産税10万円(年額)、火災・地震保険3万円(年額)、修繕の積立は月1万円 |
| 大きな修繕 | 200万円(12年後) |
| 住宅ローン控除 | 「既存・その他」(限度額2,000万円・10年) |
| 賃貸 | 家賃8万円(管理費込み)、更新料1か月分を2年ごと、家財保険は年1.5万円。家賃は上がらない前提 |
架空の家計例。物価や賃金の上昇は考えていません。比べる85歳時点は、本人が35歳から50年後です。
差を動かす1:最終年に残る住宅の価値
購入では、85歳の時点で家が残ります。売る・貸す・子に引き継ぐなど、使い道は人それぞれです。この価値を入れる欄が、ツールにあります。
| 85歳の住宅の価値 | 購入(中古+改修) | 賃貸 |
|---|---|---|
| 0円 | 924万円 | 1,746万円 |
| 500万円 | 1,424万円 | 1,746万円 |
| 約820万円 | 約1,746万円 | 1,746万円 |
| 1,000万円 | 1,924万円 | 1,746万円 |
| 1,500万円 | 2,424万円 | 1,746万円 |
| 2,000万円 | 2,924万円 | 1,746万円 |
架空の家計例。数字は、85歳時点の預貯金・投資に、住宅の価値を加えた額です。
並ぶのは、価値が約820万円のときです。築年数がたった中古住宅が、50年後にいくらで売れるかは、立地や状態で大きく変わります。数字は、ひとつの目安として見てください。
差を動かす2:家賃の上がり方と水準
賃貸の計算は、家賃が上がらない前提でした。家賃が毎年少しずつ上がると、結果は変わります。
| 家賃の上がり方(年) | 賃貸の85歳の資産 | 中古+改修 |
|---|---|---|
| 上がらない | 1,746万円 | 924万円 |
| 0.5% | 927万円 | 924万円 |
| 1% | −33万円 | 924万円 |
| 1.5% | −1,142万円 | 924万円 |
架空の家計例。数字は、85歳時点の預貯金・投資です。住宅の価値は0円としています。
家賃が年0.5%上がるだけで、賃貸は購入に並びました。1%では、85歳の預貯金・投資がマイナスになります。50年は長いため、小さな上昇でも、積み重なると大きくなります。
家賃の水準でも、結果は大きく動きます。
| 家賃(月額) | 賃貸の85歳の資産 | 中古+改修 |
|---|---|---|
| 6万円 | 3,396万円 | 924万円 |
| 7万円 | 2,571万円 | 924万円 |
| 8万円 | 1,746万円 | 924万円 |
| 9万円 | 920万円 | 924万円 |
| 10万円 | 95万円 | 924万円 |
| 12万円 | −1,502万円 | 924万円 |
架空の家計例。家賃は上がらない前提です。数字は、85歳時点の預貯金・投資です。
家賃が9万円のあたりで、購入に並びます。自分が住みたい広さと場所の家賃を、実際の物件で確かめて入れ替えることが大切です。
差を動かす3:購入側の修繕・改修・金利
購入では、あとから出る費用や金利で、結果が下がる方向にも動きます。
| 条件 | 購入の85歳の資産 | 賃貸 |
|---|---|---|
| この記事の例 | 924万円 | 1,746万円 |
| 大きな修繕が400万円 | 632万円 | 1,746万円 |
| 大きな修繕が600万円 | 340万円 | 1,746万円 |
| 改修費が800万円 | 240万円 | 1,746万円 |
| 5年後に金利が1%上がる | 272万円 | 1,746万円 |
| 5年後に金利が2%上がる | −422万円 | 1,746万円 |
架空の家計例。数字は、85歳時点の預貯金・投資です。住宅の価値は0円としています。
中古は、改修費と大きな修繕の見積もりで、結果が大きく動きます。見積もりが出るまでは、数字に幅を持たせて見ておく必要があるでしょう。金利の影響は、変動と固定の記事で見ています。
差を動かす4:教育費
教育費は、賃貸でも購入でもかかります。ただ、購入は毎月の返済が固定です。教育費が増えたときの余裕は、購入の方が先に薄くなります。
| 教育費 | 購入の85歳の資産 | 賃貸の85歳の資産 |
|---|---|---|
| この記事の例 | 924万円 | 1,746万円 |
| 1.5倍 | −641万円(51歳で不足) | 109万円 |
| 2倍 | −1,841万円(47歳で不足) | −1,421万円(52歳で不足) |
架空の家計例。教育費は、年齢別の月額を、すべて同じ倍率にしています。住宅の価値は0円としています。
教育費が1.5倍になると、購入は51歳で預貯金が足りなくなります。賃貸は、85歳まで残りました。私立への進学や、塾・習い事が多い家庭は、特に確かめておきたい点です。
教育費の入れ方は、子の人数と進路で変わります。ツールの入力欄を、自分の家庭の数字に置き換えてください。
賃貸の計算に入っていないこと
賃貸にも、この計算に入っていない不確実なことがあります。数字が良く見えるのは、その分を含めていないためです。
- 高齢期の家賃と、住み替えの費用
- 年齢や収入による、入居の条件の変化
- 広さや間取りが、子の成長で合わなくなること
- 家賃の上がり方(この例では0%)
購入には、住み続けられる安心があります。ただ、修繕と固定資産税は、住み続ける限りかかる費用です。どちらも、お金の数字だけでは決められない面があります。
決める前に、確かめる5点
- 住み続けたい年数を、家族で話しておく
- 自分が住みたい広さと場所の家賃を、実際の物件で調べる
- 中古は、改修費と大きな修繕の見積もりを取る
- 教育費の山の年に、預貯金が足りるかを、ツールで確かめる
- 手元の現金を、先に残す額から決める
手元の現金と頭金の関係は、頭金の記事で見ています。諸費用の内訳は、中古住宅の諸費用の記事に書いています。
賃貸を続けて、買う時期を決める
この記事の例では、賃貸を続ける案が、お金の数字では有利でした。それでも、買う目的が、お金の数字だけではない人もいます。
- 子の学区を変えずに、住み続けたい
- 間取りや広さを、自分で決めたい
- 高齢になっても、住まいを確保したい
こうした目的があるなら、賃貸を続けて貯めながら、買う時期を決める方法もあります。頭金や手元の現金が増えると、購入の余裕も変わります。
賃貸・中古+改修・新築の3案を同じ表で見たい場合は、中古と新築を比べた記事を読んでください。
この記事でできないこと
この記事は、賃貸と購入の違いを、簡易な計算で見るものです。次のことは、扱っていません。
- 新築との比較(中古と新築を比べた記事で扱っています)
- 高齢期の家賃・住み替え・入居の条件
- 物価や賃金の上昇
- 育休・転職・病気・介護・相続
- 実際の物件の価格・家賃・修繕の見積もり
目的は、どの条件を変えると結果が動くかを知ることです。実際の判断は、見積もりと家族の話し合いで確かめてください。
住宅ローン控除の区分と限度額:国税庁 タックスアンサー No.1211-3。
このページの計算は、簡易なものです。実際の金額は、物件や契約の条件で変わります。融資や税の相談の代わりにはなりません。
よくある質問
賃貸と持ち家は、どちらが得ですか?
家賃・住宅の価値・修繕・教育費などで変わります。この記事の例では、住宅の価値を0円で見ると賃貸が有利でした。家賃が少し上がるか、住宅の価値が残ると、差は小さくなります。
家賃を払い続けるのは、もったいないですか?
家賃は、住む費用です。購入にも、ローン・固定資産税・修繕・保険という住む費用がかかります。大切なのは、どちらの総額が自分の家計に合うかを、同じ条件で比べることです。
持ち家の価値は、いくらで見ればよいですか?
立地・築年数・状態で大きく変わるため、この記事では決めていません。価値を0円とした計算と、いくらか残る計算の両方を見て、幅で考えるのがおすすめです。
教育費が多い家庭は、購入しない方がよいですか?
そうとは限りません。ただ、購入は毎月の返済が固定で出るので、教育費が増えたときの余裕が先に薄くなる面があります。ツールで自分の数字を確かめてください。
賃貸と新築も、比べられますか?
比べられます。中古+改修・新築・賃貸の3案を同じ表で比べた記事が、別にあります。ツールの画面でも、3案を並べて見られる形です。
運営者は、FPや金融機関の資格を持っていますか?
持っていません。個人が運営しています。個別のローンの審査や、買うか借りるかの相談には、お応えできません。数字は、公的情報・運営者の体験・架空の例を分けて表示しています。
まとめ
住宅の価値を0円で見ると、賃貸が購入より約820万円多く残りました。家賃が少し上がるか、住宅の価値が残ると、差は小さくなります。
次にすることは、自分が住みたい家の家賃と、修繕の見積もりを調べることです。数字を入れ替えて確かめるときは、比較ツールを使ってください。


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